四方山話に時々音楽と高校野球

高校野球・浜省推し・スピリットは1980年代

高校野球の光星とバスケットの能代工はなぜ違うか-その2

野球留学の事情

今回は前回についての続きの表題の件 、表題の両校の違いを考えた場合に、野球留学生を中心とした現在の高校野球をとりまく 背景や事情を考慮しなければならない。

先の-その1では、遠慮して書いたがわたしの 本音を言えば、光星学院のようなチームは嫌いである。 感情論だけではあるが、その多くの理由は 私が東北出身者であるからだと思う。 これは、現在生活している四国地区においても、地元の方は やはり 地元選手が多数の学校を支持している。自然だと思う。

明徳や尽誠の出場では地元は燃えない。なぜか ? 地方の目線で考えた場合第一に地域の存在が、ないがしろにされていることがある。多くの選手は、甲子園に出場できれば、なにもその学校や その地域でなくても問題はないとの考えが根底にある。

バスケットの能代工と高校野球の光星の相違点

能代工業の場合は能代工業じゃなければ意味がないというように、こだわりがあり遠くからでも入学する。 さらに、能代工業バスケ部のOBは、卒業後の夏休みに 再び能代を訪れ、後輩たちを鍛えという。

光星学院をはじめとする東北への野球留学出身者は、卒業後に再び、その町を訪れることはあるのだろうか?その町は甲子園からその先のステージの、単なる通過点である。野球漬けの毎日に町の思い出を 持ってくれるだろうか? ただ、甲子園に出場する為には、もっとも優位な学校を選択する。 当然である。夢でもあるがその先のプロ野球・進学などを 視野にいれているからだ。甲子園に出場しなければ実力を 注目されることは少ない。 15歳にして実家を後にする決断と覚悟は、立派。彼らは野球で人生を切り拓こうとしているのである。

高校野球の光と陰

ただ、その陰で その地域の野球少年たちの夢は断たれてしまう。 そんなの実力で奪いとればとの声も聞こえてくるが、野球留学生の多くは、ボーイズリーグ 中学硬式のエリートたち。

東北の片田舎にはそんなクラブチームはなく、中学での 硬式野球の指導者も少ない。みんな軟式の中学の部活の出身。おそらくボーイズリーグのトップクラスのチームと 、地元選手で構成する北東北の高校生チームが試合をした場合に結果は明白であろう。元々の身体能力の差異はないものの、この野球環境の差は大きい。

さらにあげられるのは留学までのキナ臭さである。 関西の中学硬式のエリートたちであれば、おそらく地元近郊の 有名私学への入学も可能であろう。それをあえて遠方の 青森の私立高校を選んでいる。

これには前述のボーイズリーグのクラブの関係者と、学校側の利害の一致にほかならない。 甲子園出場者を多く輩出したい供給側のクラブ側と、少子化に向かい生徒の減少が予想され甲子園出場でのPR効果がほしい需要側の学校。 直接のやりとりだけではなく仲介者までいる場合もあり、さらに事情を複雑にしている。大人の事情で、大人の関係にあるのだろう。詳しい内容は新書「高校野球裏ビジネス」で読んだ。

そのあたりの噂は、本の存在がなくとも狭い地方の中では 人々は敏感に反応する。地方において、甲子園の高校野球は、やはり地元の若者が 全国の檜舞台でプレーするものが自然なこと。甲子園はそうした歴史的な背景も忘れてはならない。

単に実利の点だけでは、味気ない。祭りの神輿の担ぎ手は地元の若い衆でなければならない。 もちろん加勢は受け入れる。 けれども全員が外の担ぎ手の神輿は、その村の祭りでは もはやないだろう。

狭い地域の感覚ではあるがそうした感情論が渦巻く。 ただ、感情論だけを持ちだしてもこの論点の解決には至らない。また、学校ごとの留学生の制限や特待生制度の制限についても、 現時点では学校側及び生徒側が了承し成立していることなので 、なんら問題なく自由だと思う。

野球留学の是非を問うた場合に、回答は都市圏と地方圏では おそらくまったく違う。 送り出す側の都市圏は是・受け入れ側の 地方圏は非が多数を占めると思う。

こうした背景には、ご承知の通り ボーイズリーグ・リトル・シニアリーグが充実の関西圏をはじめとした都市圏については、高レベルな豊富な選手層に対して出場枠が限られることにある。 一方地方圏はその逆。 この実力と枠数の不均衡が、流出を 助長している大きな要因にある。興味のない方からしたらたかだか高校生の野球大会ではあるが、長きにわたり日本有数の人気のあるイベントであるがゆえに、簡単にも、かたづけられない。

この両者の落としどころはあるのか

この相反する両者の落とし所を勝手に考えてみた。 先ずは、出場校数と競技レベルと枠数の不均衡を是正する流れが必要。 全国大会は、地域対抗ではなく、 あくまでも学校対抗であることを考えると現在の枠組みを変える必要があると思う。

時代の変化から、1県1代表制はもう見直しの時期なのかもしれない。 少なくとも、春の選抜大会については地域の枠にとらわれない 、実力を重視した出場校の選定で、いいのではないか? 秋の地区大会~明治神宮大会までの成績を重視する選考で十分で 、地域の学校数と競技レベルに準じた32校にしたらどうだろう。

その結果北海道1 東北1 四国1 など減少する地域があるものの 、レベルの高い近畿は10関東・東京10など もちろん、地域の出場枠は 毎年・随時見直しすることが前提。

サッカーのワールドカップも欧州・南米枠に比べてアジア枠の少ないこと。 ナショナリズムが発揚するこの大会でも、地域割についてはあまり問題にならない。自国と地域のレベルを認識しているからだ。夏の大会については個人的には1県1代表制が望ましいと思うが、今後の少子化、地域によっては出場校数の減少から 残念ではあるが2県1代表または3県1代表になることも これから先の、自然な流れだと思う。

こんな背景で 遠方の東北にくる留学生がいるだろうか ? レベルの高い全国大会での留学生なしの東北地区代表は 負け続けることになるかもしれない。 事実 地元のみの秋田県代表は13年連続夏の初戦敗退を 続けた。昨年ようやく久々の2勝。地元はみんな喜んだ。 

仮に、出身県の郷土の代表が数年に1回になった場合は寂しいが、出場時のその時は、大声援を送ろう。 そして この先何十年かかるか永遠に無理かもわからないが、優勝旗は地元出身の東北の選手の力で持ち帰ってほしいものだ。