バレンタインデーも終わり、気がつけば2月の中旬。いつもこの時期になると思い出すボクシングの試合があります。
表題の1976年2月17日の日大講堂、チャンピオン柳済斗と挑戦者 輪島功一とのWBA世界ジュニアミドル級タイトルマッチ。もう40年以上も前のことです。
前年の6月に 同タイトルをKO負けで失った輪島の再起戦。タイトルを失った輪島が、敗れた相手に対して挑むのは2人目。1974年6月に アルバラード戦でKO負けで失ったタイトルを翌年の1月に奪還しておりました。
しかし、今回の雪辱戦は、年齢的なこともあり、あまりにも無謀というのが 下馬評であり、勝利を願いつつも、世間の評価は厳しかったと思います。さらにメデイアからは「輪島 流感でダウン」というのが入ってくる という、試合前にして絶望的なニュース。
もう、まともな状態で輪島はリングに上がれるのだろうか?ましては、王座奪還の可能性なんて、当時中学生だったオッサンは、そんな気持ちでテレビ中継を待ち、そして試合は開始しました。
輪島功一 VS 柳済斗 (1975・6年)
https://www.youtube.com/watch?v=j_vkdTdMAIE
中継の実況は今は亡きフジテレビ逸見政孝さんでした。過去にKOされた相手と、再びの対戦。普通の感覚であれば動物的にも恐怖と感じるはず。それでも輪島は序盤から果敢に攻め続けました。ユーチューブの映像であらためて見ても、スピードもあり、手数も多いです。見た目は、格好よくないかもしれませんが、身を低くして下からパンチは前回とは違う戦術で、柳を徐々に追い込んでいきました。
戦前の不安をよそに、ポイントは輪島優位で終盤を迎えます。そして、圧倒的な優位でむかえた 最終ラウンド15回 この回を乗り切れば、奇跡の王座奪還は確実。逃げても勝てるラウンド。しかし、この回も果敢に攻め続け、そして柳をKOで仕留めてしまう。柳は最後はロープにもたれたままテン カウント !
誰もが不可能と思っていたタイトルを、輪島が奪還した試合。今までいくつもの日本での 世界タイトルマッチが開催され、今では多くの世界チャンピオンが誕生しています。ただ、これほど多くの人の心を魅了した試合は、そうはないはず。 オッサンにとってもこの日から何十年を経ていまだに、いつまでも心に響く試合はありません。
おそらく、自分の心に残るスポーツ感動シーンでも ベストテン以内かなりの上位に位置しています。ノンフィクション作家の沢木耕太郎氏の作品「敗れざる者たち」の中にも、この試合の前後の輪島の心情が綴られております。興味のある方は是非 一読を !