四方山話に時々音楽と高校野球

高校野球・浜省推し・スピリットは1980年代

【昇降機メーカー編 ⑩】 日帰り温泉と山形のささやかな味

日帰り温泉と山形のささやかな味


f:id:nintamam36:20260628150940j:image

山形県は東北でも屈指の温泉王国で、山形市内には蔵王温泉をはじめ、各地域に多彩な湯が点在しています。秋田市時代から続けていた休日の過ごし方は、ここでも変わりませんでした。
土曜日は県内の日帰り入浴温泉へ、日曜日は買い物と完全休養日。
この二日間のリズムが、忙しい現場仕事の合間に自分を整えてくれる大切な習慣でした。

有名旅館の湯にも惹かれるものはありましたが、当時の自分には予算的に手が届きませんでした。代わりに、バブル期に各市町村で整備された第三セクターの入浴施設をよく利用しました。入浴料は500円前後と手頃で、気軽に立ち寄れるのが魅力でした。

山形市からよく通ったのが「テルメ白陵」です。最上川沿いに建つその施設は、川風が心地よく、湯上がりの身体にやさしく触れてくれます。最上川といえば、朝の連続テレビ小説『おしん』の名シーンの舞台にもなった河畔で、ドラマの記憶と目の前の風景がふと重なる瞬間がありました。

---

◆入口で売られていた「タマコン」という郷土の味

テルメ白陵の入口前では、山形名物の「玉こんにゃく(タマコン)」がよく販売されていました。大鍋でじっくり煮込まれた玉こんにゃくを串に刺し、仕上げに少しだけカラシをつけて食べる。
これが意外とおいしく、湯上がりの身体にすっと染み込むような素朴な味わいでした。

B級グルメというほどの派手さもなく、値段も安価で、まさに“土地の日常食”。
しかし、このタマコンを頬張りながら最上川の風を感じる時間は、温泉帰りのささやかな楽しみでした。こうした小さな満足が、当時の自分の休日を豊かにしてくれていたと思います。

---

◆湯気と川風と、ささやかな休日

湯に浸かり、身体の芯がほどけていく。風呂上がりにはソフトクリームをひとつ。タマコンを食べながら、川の流れをぼんやり眺める。
それだけの、静かで穏やかな休日。けれど、あの頃の自分には十分すぎるほどの癒やしでした。

秋田・山形の両方で、この「日帰り温泉の土曜日」は長く続きました。現場の緊張感、工事の段取り、技術的な課題。そうした日々の積み重ねを、温泉の湯気がそっとほどいてくれる。
この習慣は、昇降機メーカー時代の自分を支えてくれた“生活の柱”のひとつだったと感じています。