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【昇降機メーカー編①】 匂いから始まった新しい世界 ― 仙台研修の1ヶ月 

昇降機メーカー編①
 匂いから始まった新しい世界 ― 仙台研修の1ヶ月

 


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 記憶に残る匂いの感覚

昇降機メーカーの支店に初めて足を踏み入れたとき、真っ先に記憶に残ったのは「匂い」でした。

前職の百貨店には、売場ごとに違う香りがありました。化粧品の甘い匂い、食品フロアの温かい匂い、そして開店前の静かな空気に漂う独特の清潔感。しかし、ここはまったく違いました。

金属の匂い、油の匂い、工具が擦れる音、試験台の低い振動。工業製品の現場というものを、五感で理解した最初の瞬間でした。

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 仙台での工務研修が始まる


私のメーカー人生は、仙台での工務研修から始まりました。営業職として採用されたとはいえ、昇降機という製品は図面だけでは理解できないというのが会社の考え方でした。

そのため、最初の1ヶ月は工務に入り、既に稼働している製品のメンテナンスに帯同するところからスタートしました。

宿直室での生活もその一部でした。簡素なベッド、薄い布団、窓の外の国道の音。百貨店時代の華やかさとは正反対の、無骨な日常でしたが、不思議と嫌ではありませんでした。「新しい世界に来た」という実感が静かに湧いていました。

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 初めてシャフトに入る

ある日、先輩に連れられて、私は初めてエレベーターのシャフト(昇降路)に入りました。

扉が開いた瞬間、ひんやりとした空気と鉄の匂いが流れ込んできます。照明の届かない奥には、静かにレールが伸びていました。その空気を吸い込んだ瞬間、「まったく違う世界に来たのだ」と実感しました。

先輩は慣れた手つきで点検口を開け、「ここから入るよ」とだけ言いました。私はただ、その後ろについていくしかありませんでした。

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 カゴ上に乗るという経験

次に経験したのは、カゴ上に乗って点検するという、一般の人が一生触れることのない作業でした。

カゴの天井に上がると、そこには別世界が広がっていました。

- ガイドレールのわずかな振動
- ワイヤーの張り具合
- 機械室から伝わるモーター音
- カゴが動くときの独特の揺れ

先輩は淡々と点検を進めながら、「営業でも、これを知らないと話にならないからね」と言いました。その言葉の意味は、当時の私にはまだ分かりませんでした。

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説明は聞こえる、でも理解はできない

先輩が説明してくれることのほとんどは、正直に言えば理解できませんでした。

「ここがリミットスイッチで…」
「このクリアランスが…」
「ここは規格で決まっていて…」

言葉は聞こえますし、メモも取ります。しかし、頭の中には入ってきませんでした。

図面を見ても線と記号の意味がつながらず、カゴ上で先輩が指さす部品も、何をしているものなのか分かりません。ただ、分からないまま、その場の空気だけが身体に残っていきました。

- 金属の匂い
- モーターの振動
- レールのわずかな揺れ
- 先輩の動きの速さ
- 自分だけが遅れている感覚

「理解できない」という焦りと、「でも、この世界は面白い」という感覚が、いつも同時にありました。

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 こうして1ヶ月が過ぎていきました

宿直室に戻ると、その日の作業を思い返しながら眠りにつきました。理解できないことばかりでしたが、それでも毎日、少しずつ世界の輪郭が見えてくるような気がしていました。

こうして、仙台での1ヶ月は過ぎていきました。

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次は営業実習の盛岡へ
次は、営業実習の盛岡へ向かうことになります。ここから、現場を知った営業としての第一歩が始まります。