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史家、こまちへ向かう──2026年秋田大会、四強出揃う

史家、こまちへ向かう──2026年秋田大会、四強出揃う

 


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序章 四強が揃った夏の輪郭


西暦2026年。
秋田県高校野球選手権大会は準々決勝を終え、ついに四強が出揃った。

新屋、大曲工業、横手、横手城南。

春の段階で多くの人々が想像した顔ぶれとは少し異なる。
金足農の三連覇への挑戦は途絶え、秋田商業も姿を消し、明桜もまた戦列を離れた。
そして我が郷土の代表として期待を集めた能代松陽も、新屋の前に歩みを止めた。

高校野球の歴史を振り返るとき、私たちはしばしば「強豪校の時代」を語る。
しかし歴史とは、王者が勝ち続けることによってのみ作られるものではない。
新たな勢力が台頭し、旧来の秩序が揺らぐ時代にこそ、大きな転換点が生まれる。
今年の秋田大会は、まさにそのような夏である。

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第一章 史家、こまちスタジアムへ

準決勝を前に束の間の休養日。
史家は日曜日、今大会初めての現地観戦へ向かう。

本来であれば能代松陽側のスタンドに座っていたかもしれない。
あるいは夫人の母校・明桜側だったかもしれない。
しかし高校野球に「もしも」は存在しない。

残ったのは、その両校を破った新屋。
対するは大曲工業。
もう一方の山では横手と横手城南による横手ダービーが行われる。

秋田県高校野球の新しい歴史が生まれる現場に、史家は立ち会うことになる。

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第二章 人はなぜ球場へ向かうのか

出身校でもない。
地元校でもない。
親族が出場しているわけでもない。

それでも多くの人々は、真夏の太陽の下へ向かう。
結果だけが知りたいならスマートフォンで十分だ。
それでも球場へ向かう理由がある。

人々が見たいのは結果ではない。
その瞬間にしか存在しない空気である。

九回二死。
一打逆転。
歓声の前に訪れる静寂。
勝者の歓喜。
敗者の涙。
負ければ終わりという残酷さ。
そしてその残酷さゆえの美しさ。

高校野球ファンは、未来の歴史の証人になりたくて球場へ向かうのである。

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第三章 忘れられない夏──2019年の決勝

史家にも忘れられない夏がある。
2019年の決勝戦である。

夫人とともにスタンドから見守ったその試合で、明桜のエースとしてマウンドに立っていたのは工藤泰成投手。
当時は一高校生に過ぎなかったが、不思議な縁があった。

工藤投手の出身校は能代第一中学校──史家の母校。
そして進学先の明桜高校は夫人の母校。

つまりあの日の決勝戦は、

能代に縁の少年が、
史家の母校から巣立ち、
夫人の母校のユニフォームを着て、
甲子園を懸けて投げていた夏だった。

試合は延長戦の末、サヨナラ負け。
歓喜ではなく涙で終わった。
しかし後に工藤投手は阪神タイガースで163キロを記録するリリーフ投手となった。

歴史とは、後になって意味を持つものである。

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第四章 昭和・平成・令和──能代市勢の物語

2022年。
能代商業から校名変更後、初めて能代松陽として甲子園出場を決めた夏。
その瞬間もまた、史家はスタンドで見届けていた。

さらに時代を遡れば昭和53年、能代高校の甲子園出場。
平成4年、再び能代高校の甲子園出場。
そして令和4年の能代松陽。

昭和・平成・令和。
三つの時代にわたり、史家は能代市勢の甲子園出場決定の瞬間に立ち会ってきた。

偶然と言えば偶然である。
しかし現地観戦した能代市勢の決勝戦は、いまだ敗戦を知らない。
勝率十割なのである。

だからこそ、もし今年、能代市勢が再び決勝へ進出することがあれば──
たとえ平日開催であろうとも、史家は迷わずこまちスタジアムへ向かうだろう。

それは単なる応援ではない。
昭和から続く物語の続きを見届けるためである。

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終章 新たな主役は誰か

準決勝を前にした休養日。
四校の選手たちは束の間の休息を取り、次なる戦いへ備えている。
そして史家もまた、今大会最初の現地観戦に向けて準備を進めている。

果たして今年の夏、新たな主役は誰になるのか。
そしていつの日か、再び能代市勢が頂点への挑戦権を懸けて戦う日は来るのか。

その答えを求めて、史家は日曜日、こまちスタジアムへ向かうのである。