【百貨店・番外編】ドーハの悲劇を一緒に見た先輩と、2026年のブラジル戦

百貨店時代を振り返っていると、不思議と仕事そのものよりも、人との縁や何気ない出来事のほうが強く記憶に残っていることがあります。
今回のワールドカップを見ながら、そんな記憶がひとつよみがえりました。
先日、日本代表はブラジル代表と対戦しました。
結果は惜敗でしたが、試合内容は堂々たるものでした。
私が若かった頃であれば、日本がブラジルとここまで戦う姿は想像もできなかったと思います。
その試合を見ながら思い出したのが、1993年のドーハの悲劇でした。
当時、私が秋田へ向かうきっかけを作ってくれた先輩がいました。
人生とは不思議なもので、その後、その先輩も秋田へ赴任することになり、再び一緒に働くことになります。
そしてある夜、私の秋田のマンションで二人並んでテレビ観戦していたのが、あのドーハの悲劇でした。
試合終了直前まで、日本はワールドカップ初出場に手をかけていました。
しかし、最後の最後で失点。
歓喜は一瞬で消え、日本中が大きなため息に包まれました。
あれから30年以上が過ぎました。
当時の試合内容を細かく覚えているわけではありません。
しかし、秋田のマンションで先輩と並んでテレビを見ていた光景だけは今でも鮮明に思い出します。
人の記憶とは不思議なものです。
出来事だけではなく、「誰とその時間を共有したか」が記憶に刻まれるのでしょう。
今回のブラジル戦を見ながら、私はあの夜のことを思い出していました。
1993年当時、日本代表にとってブラジルははるか遠い存在でした。
ところが今では、ワールドカップの舞台で互角に近い戦いを演じるまでになっています。
ドーハで届かなかった夢は、その後実現し、日本サッカーは大きく成長しました。
そして私自身も、百貨店マンだった時代から転職を経て、気がつけば64歳になりました。
それでもワールドカップが始まるたびに、あの秋田のマンションと先輩の顔が思い浮かびます。
百貨店編を書いていると、仕事の思い出だけでなく、その時代を一緒に過ごした人たちのことも思い出します。
ワールドカップは4年に一度ですが、そのたびに過去の自分と再会させてくれる装置なのかもしれません。
そしてドーハの悲劇は、秋田行きのきっかけを作ってくれた先輩との共有の記憶として、これからも私の中に残り続けるのだと思います。