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【百貨店編⑨】百貨店売り場における男性正社員の役割──“裏方”であり“スーパーサブ”であるということ

百貨店売り場における男性正社員の役割──“裏方”であり“スーパーサブ”であるということ

 

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 男性正社員は“裏方”であり“スーパーサブ”だった

1980年代の百貨店売り場では、規模や商材に多少の違いはあっても、10人前後の販売スタッフに対して男性正社員が1名という体制が一般的でした。売り場の主戦力は女性の派遣社員や百貨店の女性正社員であり、男性社員は“売り場リーダー”として配置されていました。

このリーダーの役割は、単なる管理職とは異なり、販売・荷出し・レジ対応・催事の設営・仕入れ先との折衝まで、売り場のあらゆる業務を横断的に担う存在でした。サッカーでいえば、スターティングメンバーではないものの、試合の流れを変えるために投入される“スーパーサブ”のような立ち位置。普段は目立たないけれど、いざというときに頼られる——それが当時の男性正社員の姿でした。

 売り場の“空気”を整える黒子役

リーダーの最も重要な仕事は、販売スタッフがストレスなく“プレー”できる環境を整えることでした。売り場という舞台でスタッフが気持ちよく動けるよう、裏方として段取りを整え、トラブルの芽を事前に摘み、流れを滞らせない。まさに“黒子”としての働きが求められていたのです。

売り場は常に動き続ける生き物のような場所で、ちょっとした判断の遅れが混乱につながります。だからこそ、リーダーは誰よりも早く状況を察知し、誰よりも遅くまで現場に残る。そんな姿勢が自然と求められていました。

 

 朝礼・終礼は“言葉の現場”

朝夕の朝礼・終礼の進行もリーダーの役割でした。業務連絡だけでなく、スタッフの表情が少しでも和らぐような“前説”を用意するのも日課のひとつ。私はこの前説を、始業前のラジオ体操の数分間で頭の中に組み立てていました。

「今日はどんな話題なら、みんなの気持ちが軽くなるだろう」
そんなことを考えながら、短い言葉を選び取る作業は、毎朝の小さな挑戦でもありました。

今振り返ると、この“即興の言葉づくり”こそが、現在ブログを書き続けられている土台になっているのかもしれません。限られた時間で相手の気持ちを想像しながら言葉を紡ぐ——その訓練は、売り場という現場で自然と身についたものでした。

 売り場で学んだことは、今も生きている

百貨店の売り場は、単なる販売の場ではなく、人と人が交わる濃密な現場でした。そこで男性正社員として担った“裏方”の役割は、地味でありながら、確かな手応えを残してくれる仕事でもありました。

あの頃の経験は、今も私の中で静かに息づいています。売り場の空気を読み、流れを整え、言葉を選ぶ——その積み重ねが、その後の私の仕事観や文章のリズムに確かにつながっているのです。