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【百貨店編⑥】百貨店に入社する新卒の特徴と“縁故入社”という現実

百貨店に入社する新卒の特徴と“縁故入社”という現実

 

 

縁故入社の存在

社会の仕組みを肌で理解し始めたのは、百貨店に新卒で入社した頃のことでした。四年制大学を卒業して大手百貨店に入社する人たちには、ある共通した特徴がある――その事実に気づかされたのです。

それは百貨店に限らず、民間企業や一部の役所にも見られる構造ですが、特に顕著なのが「縁故入社」の存在でした。

新卒採用に潜む“見えない入口”

正確な統計はありませんが、私の体感では、大卒男子の半数程度が縁故、もしくは大学の指定校制度を通じて入社していたように思います。在職中にも「にんたまんさんは、どんな引きで入ったの?」と聞かれることがありましたし、退職の意思を伝えた際にも、開口一番に同じ質問をされました。

そのたびに「一般応募で、面接と筆記試験を受けて入社しました」と答えると、驚かれたり、「じゃあ辞めるのも問題ないね」と言われたりしたものです。
この反応からも、縁故入社が“当たり前”として受け止められていたことがわかります。

エリート部門に集まる人たち

当然ながら、会社の中でも“日の当たる”エリート部門には、縁故入社組や指定校制で入社した人たちが多く配属されます。これは後の昇格・昇進にも影響し、キャリアの初期段階から差がついていく仕組みになっていました。

また、富裕層の子弟は、たとえ給与が同じでも、実家の経済的な後ろ盾があるため、金銭面の不安をあまり抱えていないように見えました。地方出身の私とは、経済的にも精神的にも大きな差があったのは事実です。

しかし、彼らはその余裕からか、性格も穏やかで、地方出身の私にも分け隔てなく接してくれました。おかげで、孤独を感じることなく社会人生活をスタートできたことには、今でも感謝しています。

縁故入社は“悪”ではない

誤解のないように言えば、私は縁故入社を否定するつもりはありません。むしろ、縁故で入社した人たちは、自分を引っ張ってくれた人の顔を立てるために、一般入社以上に熱心に働く傾向があります。また、同じ理由から、簡単には辞めないという特徴もあります。

さらに百貨店という業態は、政財界をはじめとする多方面との取引が多く、取引先のご子息・ご令嬢が入社するケースも珍しくありません。これは広告代理店や大手マスコミにも見られる構造で、彼らが在籍していること自体が会社の“信用”や“利益”につながるのです。

地方出身者が初めて知る“社会の構造”

なんとなく知ってはいたものの、縁故もコネクションもない地方出身の私にとって、これは初めて目の当たりにした“現実”でした。
社会は必ずしも実力だけで動いているわけではない――そのことを、百貨店での経験を通じて学んだのです。