学生ヘルパー編⑤ 社員の背中と職場の空気

長時間シフトが教えてくれた“働く現実”
売場で働いていて、当時もっとも堪えたのは「勤務時間と休日の配置」でした。
アリック日進は大店舗法に触れるほどの規模ではなかったため、定休日は正月のわずか2日間だけ。
土日祝日は当然ながら営業日で、開店は午前10時から午後7時まで。今でこそ一般的な営業時間ですが、学生の身にはやはり長く感じられました。
平日は午後からの変則シフトで、授業との両立を図る日々。
「働くって、こういうことなんだな」と、身体で理解していった時期でもあります。
そんな働き方を続けていたからこそ、自然と「就職するなら小売業以外だな」という思いが芽生え、実際の就職活動でも小売業を受けたのは一社だけでした。
“面倒”の奥にあった、販売の基本
それでも、販売の基本は当時のフロアー長に叩き込まれたものが多く、
細かくて「面倒だな」と感じた指導も、今振り返れば他業種でも十分に通用するものでした。
- お客様の前に立つ姿勢
- 商品説明の順序と組み立て方
- 相手の反応を見ながら話す間合い
こうした“売場の基礎OS”は、今でも私の中にしっかりと根を張っています。
社会人になってから、別の業界で働くようになっても、あの頃の教えがふと顔を出す瞬間があるのです。
忙しさの中に見えた、社員の背中
売場で働く社員の背中は、いつも忙しさと責任を背負っていました。
商品の入荷、売場づくり、クレーム対応、他社ヘルパーとの調整——
目まぐるしく動きながらも、売場全体を“回す”ために淡々と仕事をこなしていく。
時に厳しく、時に優しく。
そのメリハリのある姿勢は、学生の私にはとても大人に見えました。
「仕事とは、こういうものなんだ」と、言葉ではなく“背中”で教えられた気がします。
販売の奥深さに触れた日々
社員の動きを間近で見ていたからこそ、私は“販売”という行為の奥深さを知りました。
単に商品を売るだけではなく、
お客様の気持ちを読み、売場の空気を整え、チームとして動く。
そのすべてが積み重なって、ようやく一つの売場が成り立つのだと理解できたのです。
あの頃の経験は、今でも私の中で静かに息づいています。
働くことの意味を、初めて実感した場所——
それが、横浜駅西口のアリック日進でした。