学生ヘルパー編① 横浜駅西口“アリック日進”で働いた日々

横浜駅西口の熱気に包まれた売場へ
1980年代初頭、私は横浜駅西口にある家電量販店「アリック日進」の売場に立っていました。
大学生だった私は、パイオニア社の“ヘルパー”として、オーディオ製品の販売を担当するアルバイトに就いていたのです。
当時の家電量販店は、今とは比べものにならないほどの熱気に満ちていました。
各社のヘルパー(派遣店員)が売場に常駐し、自社製品の魅力を競い合う。
パイオニア、トリオ、山水、デンオン…。
スピーカーからはJAZZやロック、歌謡曲が鳴り響き、まるで“音の戦場”のような空間でした。
右も左もわからないまま始まった接客
私は、そんな世界に突然放り込まれました。
右も左もわからないまま、社員の方に「ここに立ってて」と言われ、
カタログを手に、見よう見まねで接客を始めました。
最初は緊張で声も出ず、商品知識も乏しく、ただ立ち尽くすばかり。
それでも、少しずつ「いらっしゃいませ」が自然に出るようになり、
お客様の質問に答えられるようになると、売場に立つことが楽しくなっていきました。
売場が教えてくれた“働く”という感覚
この仕事を通じて、私は“働く”ということの意味を、体で覚えていきました。
売ることの難しさと面白さ。
社員とバイトの距離感。
売場の空気を読む力。
そして、社会の中で自分がどう見られているかを意識する感覚。
今思えば、あの売場は私にとって“社会の入口”でした。
教科書では学べないことを、現場の空気が教えてくれたのです。
次回予告
この「学生ヘルパー編」では、そんな日々の記憶をたどりながら、
“働くことの原点”を記録していきたいと思います。
次回は、アリック日進に存在した“売場の掟”について書いてみようと思います。