1964年 ― 能代高校、全国トップクラスに最も近づいた一年
― 春の東北大会優勝から、新潟国体・西奥羽大会の激闘まで ―
- 春の秋田県大会優勝、そして東北大会制覇
- 新潟国体 ― 名門・東邦高校を撃破
- 準々決勝 ― 春センバツ4強・博多工業との延長十一回の死闘
- 夏の西奥羽大会 ― 秋田工業との激闘
- ここで浮かび上がる“昭和39年能代”の価値
- もしタイムマシーンがあるなら
昭和39年の能代高校は、能代野球史の中でも特別な輝きを放つ一年でした。
昭和36年の「天覧試合」、昭和38年の「甲子園初出場」を経て、
この年の能代はついに “全国トップクラスの実力” に到達します。
一次資料をもとに、その歩みをたどります。
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春の秋田県大会優勝、そして東北大会制覇
昭和39年春、能代高校は全県大会の決勝で能代工業を3–1で破り、まず県の頂点に立ちました。
勢いはそのまま東北大会へ。
青森商に10–0、日大山形に3–1、決勝では青森高を4–0で下し、
東北大会を初優勝しました。
この時点で、能代は「東北最強」と呼ばれる存在になっていました。
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新潟国体 ― 名門・東邦高校を撃破
東京オリンピックの影響で、昭和39年の国体は6月に前倒し開催となりました。
能代高校は東北代表として新潟国体に出場します。
一回戦の相手は、中部代表で名門の東邦高校。
試合は次のスコアで能代が勝利します。
東邦高 000000200 2
能代高 01020000x 3
渡辺節郎投手の下手投げが冴えわたり、
“フライ製造投手”と呼ばれるほどのキレを見せました。
名門・東邦を撃破したことで、能代は全国レベルの実力を証明します。
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準々決勝 ― 春センバツ4強・博多工業との延長十一回の死闘
準々決勝の相手は、春のセンバツ4強・博多工業。
試合は0–0のまま延長へ突入し、十一回に2点を奪われて敗れました。
博多工 00000000002 2
能代高 00000000000 0
しかし、博多工業の小串監督は試合後にこう語っています。
「東北にこんな強いチームがいるとは夢にも思わなかった」
博多工業はこの国体で優勝しますが、
最も苦戦した相手が能代高校だったと記録されています。
能代は、春センバツ4強のチームと互角に戦ったのです。
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夏の西奥羽大会 ― 秋田工業との激闘
夏の甲子園予選でも、能代高校は順調に勝ち進みます。
西奥羽大会の決勝は、秋田工業との“秋田同士対決”となりました。
試合は息詰まる展開となり、
7回に能代が同点、さらに逆転のホーム突入は“きわどい判定でアウト”。
スタンドも騒然となる場面でした。

最終回には、加藤捕手が頭部死球で失神。
それでも、
「私は三年生だ。この日のためにやってきた。死んでもいい。やらせてください」
と叫び、金網にしがみついた姿が一次資料に残されています。
結果は次の通りでした。
能代高 000000200 2
秋田工 10100001x 3
二年連続の甲子園出場は叶いませんでしたが、
この試合は“青春の炎”そのものだったと記録されています。
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ここで浮かび上がる“昭和39年能代”の価値
昭和39年の能代高校は、西奥羽大会決勝で秋田工業に1点差負け。
その秋田工業は、夏の甲子園で優勝した高知高校に1–4で善戦しています。
さらに能代は、春センバツ4強の博多工業と国体で延長十二回の死闘。
これらを線でつなぐと、次の事実が浮かび上がります。
・名門 東邦高校を撃破し春センバツ4強博多工と互角の延長戦
・夏優勝校の高知に食い下がった秋田工を、能代は1点差まで追い詰めた
=昭和39年能代は“全国トップクラスの実力”
これは偶然ではありません。
昭和39年という年の全国レベルの密度の中で、
能代高校は確実に「全国級の位置」にいたのです。
そして、この年こそが、
能代高校が全国の頂点に最も近づいた一年
と言ってよいでしょう。
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もしタイムマシーンがあるなら
昭和39年の能代高校は、春の東北大会を制し、
国体では春4強の博多工業と延長十二回の死闘を演じ、
夏の西奥羽大会では秋田工業と“秋田高校野球史に残る激闘”を繰り広げました。
もし私がタイムマシーンを使えるなら、
この昭和39年・西奥羽大会決勝の八橋球場に立ち会ってみたいと思います。
7回の同点劇、逆転のホーム突入のきわどい判定、
最終回の頭部死球で倒れながら「死んでもいい、やらせてください」と叫んだ加藤捕手。
あの瞬間の空気は、文字で読んでいるだけでも胸が震えるほどです。
この記事に引用した一次資料は、
その場にいた人々の息づかいまで伝わってくるような、
当時の空気感をそのまま閉じ込めた貴重な記録だと感じました。
昭和39年という一年は、
能代高校が全国の頂点に最も近づいた年であり、
能代野球の“黄金点”が最も強く輝いた瞬間でした。
参考文献・引用資料
『戦後の証言―能代30年の歩み』
北羽新報社 編・発行(昭和52年刊)
※本文中の引用は同書「昭和39年 能代高校 新潟国体・西奥羽大会」記事より抜粋。