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職業観は、歩きながら育つもの ――ある職業人のキャリアから学んだこと

職業観は、歩きながら育つもの
――ある職業人のキャリアから学んだこと


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若い人たちと話していると、「やりたいことがまだ見つからない」「とりあえず大企業を目指している」という声をよく耳にします。
そんなとき、私はある技術者の歩みを思い出します。

◆ 若さゆえの“未完成”を責めない

その方が新卒で社会に出たとき、上司からこう言われたそうです。
「君には職業観がない。覚悟も信念も足りない」と。

けれど、本人はこう振り返っていました。
「若い頃にそんなものは、あるわけがない。ただ、目の前の仕事に向き合うだけで精一杯だった」と。

この言葉には、若者のリアルな心情がにじんでいます。
そして同時に、職業観とは最初から持つものではなく、経験の中で育っていくものだという真理も感じさせてくれます。

◆ 大企業出身という“通行手形”

その方は、特に明確な志があったわけではなく、「とりあえず大企業へ」という選択をしました。
結果として、その11年間の経験が、後のキャリアにおいて大きな意味を持つことになります。

転職市場では、大企業出身者に対して以下のような評価がなされることが多いようです。

・採用選考を通過した実績がある(=一定の基礎力がある)
・ビジネスマナーや業務遂行能力が備わっていると期待される
・組織での協働経験がある
・教育・研修を受けているという安心感がある

この方も、35歳までの転職は非常にスムーズだったそうです。
異業種への転職も、ハローワークに登録した職歴リストを見た企業からのリクエストで実現しました。
「大企業での経験があるなら」と、信用が扉を開いたのです。

◆ 信頼がつなぐキャリアの連鎖

その後、29年間にわたり同じ職場で働き続け、業界内での信頼を築いていきました。
そして現在は、取引先からの声掛けを受けて、新たな職場で再スタートを切っています。

このように、最初の大企業での経験が“信用の礎”となり、
その後のキャリアでは“実績と人とのつながり”が、次の扉を開いていったのです。

雇用保険を使うことなく、すべての転職が“ご縁”によってつながってきたという事実は、
日々の仕事ぶりや誠実な姿勢が、どこかで誰かに届いていたからこそだと感じさせられます。

◆ 若者たちへ――「とりあえず」から始まる道もある

職業観がまだ定まっていない若者にとって、「とりあえず大企業を目指す」という選択は、決して間違いではありません。
大企業には、制度や教育体制が整っており、社会人としての基礎を学ぶには非常に良い環境があります。
その中で、自分の適性や価値観が少しずつ見えてくることもあるでしょう。

もちろん、明確な志や目指す道がある方は、たとえ小さな会社や個人の道であっても、
自分の意志で選んだ道を歩むことが何よりも尊いと思います。

大切なのは、「どこに入るか」ではなく、
「どう歩き、どう育つか」なのだと、その方の歩みが教えてくれます。

覚悟とは、最初から持っているものではなく、
歩いた跡に、静かに芽吹くものなのかもしれません。

たとえ選んだ場所がブラックな環境だったとしてもそこでのキャリアは積み重ねられます。

いま、迷いながらも働いている若いあなたへ――その一歩一歩が、やがて“あなた自身の職業観”を育てていくことを、私は信じています。

 

 

転職の優位性の違い:年齢と背景による視点
観点 大企業出身・35歳までの転職 キャリア積み重ね・35歳以降の転職
評価される要素 所属企業のブランド力、選考通過実績、基礎力への期待 実績・継続性・人間性・業界内での信頼
転職のきっかけ 書類選考・求人応募・企業側の安心感 取引先・人脈・紹介・声掛けなど“縁”による展開
企業側の見方 「大企業で働いていたなら安心」 「この人なら任せられる」「現場を知っている」
求められる力 ポテンシャル・柔軟性・吸収力 実務力・信頼性・安定感・人間関係構築力
転職のスムーズさ 比較的スムーズ(特に35歳まで) スムーズだが“声がかかる”形が多く、求人応募とは異なる
キャリアの語り方 「どこにいたか」が中心になりやすい 「何をしてきたか」「どう信頼を築いたか」が中心になる
リスクと注意点 ブランドに頼りすぎると実力不足が露呈することも 実績があっても柔軟性や新しい環境への適応力が問われる