65歳以降からの再雇用、その“数字のカラクリ”と60歳からの10年設計図

「65歳以降も働ける企業は増えている」
そんなニュースを目にするたびに、少し安心したような気持ちになっていました。
しかし、あるときふと立ち止まり、考えることがありました。
この数字の裏には、何か見落としている現実があるのではないかと。
厚生労働省の調査によると、2025年時点で「70歳まで働ける制度を持つ企業」は全国で34.8%に達したそうです。
一見すると前向きな数字に見えますが、都道府県別に見ると、東京のような大都市圏では27%台と低く、地方では40%を超える県もあります。
なぜ、このような差が生まれるのでしょうか。
東京には労働力が豊富にあります。企業は高齢者に頼らずとも人材を確保できるため、65歳以降の再雇用に積極的でない傾向があるのかもしれません。
一方、地方では少子高齢化が進み、若年層の確保が難しい現実があります。だからこそ、65歳以降の再雇用が進んでいるのです。
しかし、その実態をよく見ると、企業側にとって都合の良い「時給制へのシフト」が背景にあることが見えてきます。
65歳後の定年再雇用で、月給制を維持できている人は、全体のわずか4〜5%程度だといわれています。
多くの方が、定年前の給与の半分以下、あるいは時給制での再スタートを余儀なくされています。
制度としては「再雇用あり」と掲げていても、実際には“選ばれた人だけ”が対象だったり、処遇が大きく下がったりするケースも少なくありません。
私は定年再雇用後、63歳のときに転職という形で新たな職場に入りました。
現在は契約社員として月給制で働いています。
この働き方であれば、65歳を迎えても給与体系が急に変わることはないだろうと感じています。
制度の数字に安心するのではなく、その中身を見極める目を持つこと。
そして、自分にとっての“働き方の品位”を大切にすること。
それが、65歳以降の働き方を考えるうえで、何よりも大切なのではないかと感じています。
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「年金が出る65歳までは、なんとかなる」
そんな声をよく耳にします。
しかし、本当の課題はその先にあります。
年金と給与が重なる65歳以降、どのように働くか。
そして、70歳という“静かなゴール”をどう迎えるか。
この5年間の設計が、人生の後半を左右するといっても過言ではありません。
多くの方が選ぶ「定年再雇用」は、制度としては整っているように見えますが、実態としては65歳以降からは“尻つぼみ”になりやすい側面があります。
・給与は定年前の5〜7割に減額
・時給制・短時間勤務への切り替え
・補助的な業務への配置転換
制度に従えば、形は整います。
しかし、働く意味や誇りが薄れていく感覚を抱く方も少なくありません。
一方で、転職という選択肢を取った場合、年齢に関係なく、経験や信頼で評価される可能性があります。
・月給制の維持
・専門性を活かした実務や指導的役割
・契約内容の柔軟性
・「働く意味」を持ち続けられる環境
もちろん、すべての方に当てはまるわけではありません。
しかし、60歳からの10年をどう設計するかによって、70歳の自分の姿は大きく変わってくるのではないでしょうか。
60歳からの10年は、人生の“第2ピリオド”です。
定年再雇用で尻つぼみになるのか、
転職で月給制を維持しながら自分らしく働き続けるのか。
その選択が、70歳の自分をどう迎えるかを決めるのだと思います。
| 地域 | 65歳以降の再雇用率 | 背景要因 | 処遇の傾向 |
|---|---|---|---|
| 東京など大都市圏 | 27〜30%前後 | 労働力供給が豊富/企業規模が大きい | 制度はあるが実質的なハードルあり。月給制維持は一部 |
| 地方(北東北・山陰など) | 40〜47%と高水準 | 労働力不足/地域密着型雇用 | 時給制・柔軟勤務が主流。再雇用率は高いが処遇は抑制傾向 |