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怪獣と蛇娘と映画館街――昭和43年、能代のスクリーンに灯った記憶 

怪獣と蛇娘と映画館街――昭和43年、能代のスクリーンに灯った記憶


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昭和43年、小学2年生の私は、能代市の映画館街で忘れられない2本の映画に出会いました。
ひとつは東宝の『怪獣総進撃』、もうひとつは大映の『蛇娘と白髪魔』。
どちらも、今でも鮮明に思い出せるほど、心に深く刻まれた作品です。

怪獣総進撃は、ゴジラ・モスラ・ラドン・キングギドラなど、東宝怪獣オールスターが集結した夢のような映画でした。
舞台は“未来の1999年”。月面基地や怪獣ランドといったSF的な世界観に、当時の私は胸を躍らせました。
富士山麓で繰り広げられる怪獣たちの総力戦。
スクリーンの中で暴れまわる怪獣たちに、私はただただ圧倒され、そして興奮していました。

一方、蛇娘と白髪魔は、まったく異なる“怖さ”を持った作品でした。
施設で育った少女が、実は資産家の娘だったと知らされ、都内の屋敷に引き取られる――
その展開に、裕福ではなかった私は、正直なところ羨望と嫉妬が入り混じった感情を抱きました。

主役の少女を演じた松井八知栄さんは、都会的で洗練された雰囲気をまとっていて、
「都会の子は違うなあ」と思ったのを今でも覚えています。
そして、屋根裏部屋の姉タマミ、蛇のうろこ、白髪の魔女――
怖くて目をそらしたくなるのに、なぜか目が離せない。そんな映画でした。

これらの映画を観たのは、能代市・西通町にあった映画館街。
現在の北羽新報社のあたりには、かつて映画館が並んでいました。
邦画は第一劇場、洋画は中央劇場。
さらに東映や日活といった直営館もあり、通りには映画の看板やポスターが並び、週末には人の波ができていました。

土曜日の夜にはオールナイト上映もあり、親と一緒なら子どもも入場できました。
蛇娘と白髪魔も、そんなオールナイトで観た記憶があります。
映画館の帰り道、夜風が冷たくて、でも心は映画の余韻で熱かった――
そんな記憶が、今も私の中に残っています。

映画は、風俗であり、世相であり、文化でした。
昭和の映画は、時代の空気をそのままスクリーンに映し出していました。
そして、映画館は町の文化の交差点。
今ではその多くが姿を消しましたが、記憶の中では、あのスクリーンの灯りは今も消えていません。

あの頃の映画体験は、単なる娯楽ではなく、“記憶の座標軸”でした。
怪獣と蛇娘と映画館街――それらは、私の中で今も静かに息づいています。
そして、こうして語ることで、また誰かの記憶とつながることができたら。
それが、私の“記録と記憶をつなぐ”という営みの意味なのだと思います。

 

※関連リンク

怪獣総進撃 - Wikipedia

蛇娘と白髪魔 - Wikipedia