四方山話に時々音楽と高校野球

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都道府県駅伝に託す、秋田へのまなざしと遠距離の記憶

【地元と遠距離のあいだで】秋田県出身おっさんの駅伝回想と故郷へのまなざし

秋田県出身のおっさんが、県外住まいとなって随分と経ちました。Uターンで地元に戻った時期もありましたが、その後も県外への転勤が続く日々。東北地方の小都市では、そもそも仕事の選択肢が限られているため、Uターン後に再び県外へ転職する方も少なくありません。

振り返ってみると、最強なのはずっと地元に根付いている“マイルドヤンキー”たち。彼らが言う「東京に行ったら負け」という価値観も、今では少し理解できる気がします。ただ、私自身はずっと生まれた場所に留まるのは無理だったなぁと思うのです。地元に根を張る生き方と、外に出て風に吹かれる生き方。どちらが正しいという話ではなく、それぞれにしか見えない風景があるのだと思います。

さて、県外暮らしが長くなると、特に遠距離であればあるほど、地元との接点は極めて少なくなります。そんな心のすき間を埋めてくれるのが、スポーツ紙に載る地元スポーツの記事や、地元選手の活躍。東日本や北日本ならまだしも、西日本在住時には、秋田県の風はまったく吹いてこない。だからこそ、秋田のニュースやスポーツでの地元校・地元選手の動向には、つい敏感に反応してしまいます。

メジャーなところでは、やはり夏の甲子園。春のセンバツは秋田県からの出場があったりなかったり。そして、来週開催される都道府県対抗駅伝も、そんな“地元との接点”のひとつです。男子は広島市開催。今にして思えば、神戸や高松市に住んでいた頃に観戦に行っておけばよかったなぁと、少し悔やまれます。

駅伝という競技は、日本独特の文化です。中学・高校・社会人と襷を繋ぎ、47都道府県が一斉にスタートする光景は、何度見ても胸が熱くなります。順位はもちろん上位に越したことはないけれど、個人的には「無事にゴールしてくれればそれでヨシ」。コロナ禍を経て、久しぶりのフル開催となる今回。以前はゴール付近に47都道府県のゆるキャラたちが大集合するなんて、微笑ましいシーンもありました。

こうして書いていると、地元愛が強いように聞こえるかもしれません。でも、遠くで暮らしているほど、故郷というものは常に“愛憎入り交じる存在”です。最も好きであり、そして最も嫌いでもある──そんな唯一無二の不思議な場所。地元に対して感じる矛盾や葛藤も、長く離れて暮らしてきたからこそ見えてくるものです。

今では、地元に戻っても、また県外に出ても、どこか“仮住まい”のような感覚がつきまといます。それでも、秋田の高校が甲子園に出場したり、駅伝で地元選手が活躍したりすると、自然と胸が高鳴る。それは、地元という場所が、今も自分の中に根を張っている証なのかもしれません。

地元との距離は、物理的なものだけではありません。記憶、感情、そして季節の風に乗って届くニュースやスポーツの話題が、遠く離れた場所にいる私の心を、ふと地元へと引き戻してくれるのです。

では、また。

 

天皇盃 第28回 全国男子駅伝 [ひろしま男子駅伝]

過去の秋田県の最高順位は8位。今年はいかに、ではまたです。

天皇盃 全国男子駅伝 大会結果 Emperor'sCup Inter Prefectural Men's Ekiden Hiroshima

 

2016年12月浜田省吾ライブで広島行った際に撮影した大会フラッグ