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【名曲再発見】アリス「遠くで汽笛を聞きながら」──40年越しにたどり着いた歌詞の真意と地元へのまなざし

アリス 遠くで汽笛を聞きながら 歌詞&動画視聴 - 歌ネット

この歌の歌詞の意味を、私はずっと勘違いしていました。

これまでの解釈は、都会で生きる者の孤独と望郷の念がベース。都会に出てきた者が、故郷を思いながらも戻れない切なさを歌っているのだと、そう思い込んでいたのです。

ところが、年末年始の休暇中、コロナ禍によるステイホームの時間の中で、ふとした検索からこの歌詞の真意にたどり着きました。ネットには有志の方々によるブログや考察が数多くあり、同世代の“おっさん世代”にとっては、かなり支持されている楽曲のひとつであることも改めて知りました。カラオケでこの曲を嗜む方も多いでしょう。

そして気づいたのです。この歌は、都会に出ていく者の歌ではなく、“それでも生まれた街で生きていく”という決意の歌なのだと。

「何もいいことがなかった街」とは、生まれ育った地元のこと。「俺を見捨てた女」は、地元から都会へ出ていった人なのかもしれない。幼い心に秘めたむなしい涙の捨て場所は、生まれた土地で探すしかない──。

今までの解釈では繋がらなかった歌詞も、「生まれた街」に置き換えると、不思議とピタリと合ってくるのです。歌詞の一つひとつが、地元に残る者の覚悟や、静かな誇りのようなものを感じさせてくれます。

さらに驚いたのは、シングルジャケットの写真が秋田県横手市の醍醐駅のホームだったこと。最初にこの曲を聴いたときは、船の汽笛のイメージでしたが、実際は長距離列車の汽笛。70年代の楽曲には駅や列車が舞台となる作品が多く、名曲揃いです。

このジャケットのことは、2011年のテレビ番組でも紹介されていたので、ご存知の方も多いかもしれません。作詞の谷村新司氏が実際にこのホームに降り立ったかは不明ですが、歌詞とメロディにはこの風景が重なっているように感じます。電化前の奥羽本線から大都会へ旅立ちたいという思いは、果たして“一夜の夢”だったのか──。

この曲を初めて聴いたのは、まだ若い頃。当時は都会への憧れが強く、地元に対してはどこか否定的な感情もありました。けれど、人生を重ねるにつれて、地元の風景や人々の温もりが、何よりもかけがえのないものだと気づかされます。今では、あの頃の“何もなかった街”こそが、自分を育ててくれた場所だと胸を張って言えるようになりました。

名曲は、意外にもすぐそばにありました。

今、この地は豪雪の真っ只中。大雪とコロナの影響で気持ちも沈みがちですが、雪が溶け、コロナ禍が過ぎた春になったら、あのホームを訪ねてみようかと思います。汽笛の音が、過去と現在をつなぐように響いてくれる気がするのです。

では、また。

 

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遠くで汽笛を聞きながら | ディスコグラフィー - 谷村新司 Shinji Tanimura Official Site