2015年7月16日(木)/八橋球場
秋田 6-9 明桜
【秋田】加藤広大→金沢龍介―加賀谷優斗
【明桜】児玉威吹→児玉日々生→川崎圭―岩城圭悟
【二塁打】加賀谷優斗、田中光次郎(秋田)/岩城圭悟、前田幹人、柏谷雄太(明桜)
今日の注目試合はこの一戦。
春の大会では結果が出なかった明桜が、第二シードの名門・秋田高校を逆転で圧倒し、ベスト8進出を決めました。
今春から県外中学出身の1年生が入学し、強化を図ってきた明桜。
まさかここまで早く結果が出るとは予想していませんでした。
正直、地元中学出身の選手との間にこれほどの差があるとは…。
これが、秋田ではまだ浸透していない中学硬式野球の経験値の違いなのでしょうか。
それ以上に印象的だったのは、選手たちのメンタルの強さ。
劣勢からの逆転を繰り返し、甲子園出場を目指して遠く秋田までやってきた選手たちの「気持ち」が違います。
こうした選手たちが集う甲子園で、秋田県勢が13年連続で勝てていない理由が、少し見えた気がします。
この3回戦の試合──大げさかもしれませんが、秋田の高校野球の歴史を変える一戦だったかもしれません。
高校野球100年の歴史。第1回大会準優勝校で、最多出場を誇る県下No.1の名門・秋田高校。
その秋田を、県外から来た野球留学の1年生たちが、0-6からの逆転で破り、準々決勝へ。
記念の年に出場を期待していた地元のオールドファンにとっては、ショッキングな結果だったでしょう。
しかし、これが現在の全国レベルとの差であり、紛れもない現実なのです。
お隣の青森や山形では、県外選手の存在が県全体の高校野球レベルを引き上げました。
その結果、地元主体の日大山形が選手権ベスト4に進出し、青森では弘前聖愛が台頭。
かつて常勝だった隣県との奥羽大会・西奥羽大会が今も開催されていたら、
秋田県代表が甲子園に出られない年が続いていたかもしれません。
全国の現状から閉ざされ、ガラパゴス化していた秋田の高校野球が、変革できるかどうか。
閉鎖的・排他的な県の体質は、高校野球においても「外圧」でしか変われないのかもしれません。
明桜高校の1年生メンバー(公式サイトより):
http://www.nau.ac.jp/houjin/MEIOH/bb/meioh_bb03-2015.html
2011年に発足した県主催の高校野球強化プロジェクト。
「5年で全国4強」を目標に掲げたこのプロジェクトにおいて、
県外出身の1年生主体の明桜高校が、その旗手となる可能性もあります。
夏の甲子園13連敗から立ち上げたこのプロジェクト──なんとも皮肉な展開です。
ベイスターズで彗星のように登場した砂田投手も、札幌出身の明桜高校OB。
2年前は明桜のエースでした。プロ野球選手を目指す県外留学生にとって、
一軍で活躍する先輩の存在は大きな励みとなっているはずです。
地元中学出身で構成されたチームが甲子園に出場するには、
県外出身選手主体の明桜に勝たなければなりません。
そんな地元主体のチームであれば、全国でも期待できるでしょう。
もう「甲子園出場だけ」が目的の秋田県大会は終わりました。
今後の2015年秋田大会、勢いに乗る明桜高校を秋田商業が止められるのか。
さらに秋田南や能代松陽がどう挑むのか──
大会後半戦は、明桜高校が軸となる展開が予想されます。
シード校が苦戦する波乱の大会。
この先、どんな試合が待っているのか……非常に興味深いです。
では、また。
※秋田高校 vs 秋田経法大附属(現:明桜)
この2校の対戦は、旧体制 vs 新興勢力、県下No.1の名門校 vs 秋田では数少ない私学という構図。
まさに対極に位置する存在であり、昔から注目のカードでした。