久しぶりに、「最近読んだ本」のカテゴリ。 インターネットが家庭に普及する前、からこれ20年前くらい前までは、週刊誌、文庫本など乱読していたものの、最近は少ないな~ 。それでも休日はショッピングセンターに行けば、本屋には必ず立ち寄りますので、今回はそれから一冊。
大体購入するジャンルというと、スポーツノンフィクションと日本の近現代史というように、非常に偏った嗜好性があります。小説はありません。
「愛と暴力の戦後とその後」は、作者の方は著名な方ですが、正直 知らないし、タイトルと帯の紹介文で、手にとりました。
【目 次】
プロローグ 二つの川
第1章 母と沈黙と私
第2章 日本語は誰のものか
第3章 消えた空き地とガキ大将
第4章 安保闘争とは何だったのか
第5章 一九八〇年の断絶
第6章 オウムはなぜ語りにくいか
第7章 この国を覆う閉塞感の正体
第8章 憲法を考える補助線
終 章 誰が犠牲になったのか
エピローグ まったく新しい物語のために
著者は1964年生まれなので、見てきた風景というのは、けっこう近いものがあります。子どものころの昭和40年代の中ごろまでは、町にかつての傷痍軍人の姿があったり、戦後の風景や風が残っていました。
1980年の断絶っていうのは、まさにその通り。戦後からの復興の途上にあった過去と、完成・成熟・衰退期にある2014年の今現在の分水嶺あたる頃だと思います。
この頃の漫才ブームを例に出していますが、この年を境に、漫才師・芸人はお笑い、エンターティメントとなりテレビの主役の座となりました。ドラマは恋愛ものばかりになったのもこの頃だし、やはりテレビは時代を写す鏡なんだなとも思います。
この当時はなんとも思いませんでしたが、後々振り返ると、はっきり復興を目指した意味での戦後が完成した年。さらに、今の時代への幕開けだった年 1980年。
他にも、今を生きている我々には、興味深い視点から現代日本を語っているので、戦後史にご興味の方は是非一読を !
最後に、私が、印象に残った一文はこちら。う~ん。確かにその通り。
「人間が、他人を自分の腕のリーチの内側にいれるような間合いは、素手の喧嘩か、性愛くらいなのだ。だったら社会から暴力を少しでも想起させるものが消されていったのと同時に、人は恋愛も苦手になっていって道理ではないだろうか。」